「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。
そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
作者:百田 尚樹
記載日:2013年7月21日
第二次世界大戦が話の舞台です。戦争はちょっと…と敬遠せずに誰しもに読んで欲しい傑作。
フィクションではありますが、作者の綿密な下調べがあってこその内容だと思います。特攻隊に対して、また、当時の日本人に対しての今までの固定観念を崩すきっかけにはなるでしょう。 また、現在の自分たち日本人のあり方を見直すいい機会になるかもしれません。
零戦の圧倒的性能や日本人パイロット技術力の高さの描写、主人公である宮部の人物像どれも魅力的で、 話の持っていきかたも徐々に、そして緩急をつけながら盛り上がっていく流れになっており、素直に引き込まれます。
永久保存版の傑作です。
2012年10月、「肺カルチノイド」により41才という若さで急逝した流通ジャーナリスト、金子哲雄さん。 死期を悟った彼は、会葬礼状まで生前に用意して、自分の葬儀を自らプロデュース。 しかし、彼が「余命0」宣告を受け入れて死の準備を整えるまでには、乗り越えなければならない悲しみ、苦しみ、 そして何より、最愛の妻を残していくことへの葛藤があった。 死の1か月前から、最後の力を振り絞って書き上げた本書には、その一部始終が綴られている。
作者:金子 哲雄
記載日:2013年4月30日
金子さんって、いつの間にかワイドショーやバラエティに顔を出すようになり、その顔や話し方のインパクトから「また怪しげな人が出てきたな~」なんて思った記憶があります。そうこうするうちに、またスッとTVで見なくなり、 ある日ニュースで亡くなったと知って、大変驚きました。
そんな思いもあり、この著書には発売当初から興味がありました。亡くなる直前に書かれたものだけあって、一字一字に力があり、 金子さんの「魂」のようなものが宿っているようでした。『金子さんらしさ』と言えばいいのか…金子さんの人生観、死生観がぎゅっと詰め込まれた内容だったと思います。生前ワイドショーで拝見していた際の印象はガラッと変わりました。
また、奥さんのあとがきも胸にくるものがあり、この本自体、夫婦合作そのものだと思います。 金子さんの人生も奥さんとの二人三脚。最期のひととき、二人が以心伝心、静かな心境に至った場面には、深く感慨入りました。あぁ、看取られる人の最期というのはこういうことなのかと。適した言葉ではありませんが、ある意味『幸せだな』『羨ましいな』と正直思いました。
「死」を間近に感じる仕事をしているせいで、その1つ1つに対し、感度が鈍くなっている自分を反省。この本を読んで、家族を、人生を大切にしよう!という気になりました。
金子さん、ご冥福をお祈りいたします。
「お前なぁ、このままやと2000%成功でけへんで」
ダメダメなサラリーマンの前に突然現れた関西弁を喋るゾウの姿をした神様“ガネーシャ”。 成功するために教えられたことは「靴をみがく」とか「コンビニで募金する」とか地味なものばかりで…。
『ウケる技術』の著者が贈る、愛と笑いのファンタジー。
作者:水野 敬也
記載日:2011年11月5日
ビジネス書は巷に溢れていて、なんか堅苦しいというかとっつきにくいイメージがあったので今まで殆ど読んだことなかったんですけど、 これは関西弁を話す変なゾウが面白おかしく会話形式で教えてくれるので、僕みたいに敬遠している人にはうってつけの作品でした。
「ガネーシャ」が偉人たちの深イイ話をちょこちょこ喋ってくるので、 1冊読むだけで色んな豆知識が広がり、なるほど!と感心してしまいます。
一応、前半と後半に分かれてて、前半は爆笑するほど1つ1つのエピソードが面白く、軽めなんですけど、この本は物語の側面もありますので、 後半はちょっと悲しくシリアスな感じ。エピローグもあって、自己啓発本でありながら「いい話」にもなっていてある意味お得な作り(笑)
実生活に直結する内容かどうかは、微妙ですが、入門書としては非常にオススメ。
200万部突破のベストセラー待望の続編! !
お待たせしました! 史上最悪の師匠、5年間の沈黙を破り再び人間界に降臨! 笑って泣ける自己改革エンタテインメント小説、第2弾。
作者:水野 敬也
記載日:2013年5月25日
前作を読んで、ファンになり今回は文庫化まで待てずに購入(笑)
今作は「お金」に対する考え方を中心として書いてあるそうです。相変わらずの面白さ。人がいるところで読んでいると、突然吹き出しそうになるので、要注意です!
今作は、ガネーシャ以外にも貧乏神や釈迦などが出てきて(神の数が)スケールアップ!前作の主人公もちょい役で登場させファンの心をつかみ、 ガーネシャの面白い関西弁の掛け合いも、今作の主人公の職業が芸人なので必然的に多くなり、もーコケるわけない盤石の作りです(^-^;)満を持しての続編でしょう。
そもそもは自己啓発本ではあるんですが、物語がしっかりしてますんで、ふつうの小説のようにスラスラと感情移入して読んでしまいます。 なんで自己啓発本で、瞳を潤ませてしまうんだ?そこが、このシリーズの凄いところですね。
前作と比べ、偉人の名言からヒントを得るというよりは、今回は神様(を通しての筆者の考え)から学んだような印象でした。 いずれにしてもやはり「なるほど」と共感します。『社会的な成功』に直結する教えではなく、あくまで物事や人生の考え方・生き方の見直しにより、 間接的に『(色んな意味での)成功』につながっていくという流れですね。
ここまで来ると、さらなる続編を期待してしまいますが、どうですかね…。釈迦や貧乏神も再登場して欲しい。今回も、買って損なしの1冊でした。
『探偵ガリレオ』シリーズ第3弾。第6回本格ミステリ大賞、第134回直木賞受賞作。他にも、『このミステリーがすごい!2006』などなど国内の賞を総ナメ。 天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか。
作者:東野 圭吾
記載日:2007年12月17日
これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった。運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。
意外なことに(?)東野圭吾にとって6度目の候補にして遂に受賞した「直木賞」作品。
友人に貸してもらい、一気に読破しました。うーん、面白い!!それほど物語に惹き込まれます。なんと切ない話なのか!
基本はミステリー小説なんですが、同時に『純愛小説』でもあります。
冒頭から犯人側の視点で描かれ、でもトリックが分からないという仕組み。 可哀相な加害者の心情(動機)をメインに話が進んでいくので、いち読者である自分も 『この犯行バレなきゃいいのに…』とか思ってしまいます(^▽^;)
しかし、最終的には湯川教授により、犯行はバレてしまうんだろうなぁとか思うと、ちょっと読み進めながら切なくなります(笑)
そして予想通りラストは思いっきり切ないです。
深い、『愛』。切ない、愛だったです。
天才数学者も人を愛することを覚え、その愛を守るために計算、全てを計算によって叩き出すシナリオ。友であり、同じ天才である湯川准教授に結局暴かれるんですが、 そこにも深い友情が存在しています。
まさに傑作です。
200万部の大ベストセラー「夢をかなえるゾウ」著者による、幸せになるための4つの物語。 四つの葉にはそれぞれ「faith(誠実)」「happiness(幸福)」「heart(愛情)」「hope(希望)」の意味があると言われています。 そして、本書「四つ話のクローバー」に登場する4つの物語にも、「笑い」や「感動」だけではなく、「幸運」を呼び込むための具体的なヒントがつまっています。 4つの物語を読み終えたとき――あなたの元に幸運が訪れているかもしれません。
作者:水野 敬也
記載日:2016年7月30日
もともと独立していた4つの短編を1つの本にまとめた作品です。
水野さんの作品は、いつも教訓的なことを笑いを交えて教えてくれるので読みやすいです。
1話目(深沢会長の秘密)は「夢をかなえるゾウ」と似た雰囲気。
個人的にはこの1話目と4話目(氷の親子)が印象に残りました。特に(氷の親子)は特殊で、1-3話目ほど筆者が何を伝えたいのか、最後まで明記されていません。
読者に想像させる…ということなんでしょうが、子を持つ親の立場からすると、読後、心が大きく動かされました。 でも、その感情がなんなのか自分でもまだよくわかりません。もどかしさを感じます。
短編集なので何話目から読んでも、大きく問題はないと思います。そんなに時間が取れない方は1,4話目だけでも読んでみてはいかがでしょうか。